RFIDタグを利用したトレーサビリティの研究

RFIDタグ

RFIDタグとは、人や物、動物などにつけ、無線通信を利用し対象の識別を行うモ ジュールで、ICチップとデータを無線で送受信するアンテナから構成されていま す。大きさは、大きい物でも切手大、小さい物になると数ミリ角の物もあります。 この技術は、今さまざまな分野に活用されようとしています。

RFIDタグの有用性

現在、スーパーやコンビニのレジでは、商品の精算をするのに手で値段を打ち込 んだり、バーコードを読みとったりしています。しかし、手で打ち込むのは時間 がかかり、バーコードも結局は手で読みとらなくてはならなく、実際にバーコー ドが見える状態でなければ読みとれません。

しかし、RFIDタグならば、いちいち読みとり機をタグに向けてかざさなくても読 み取れ、無線読み取り装置が認識できる範囲内にある限り、幾つものタグを1秒 もかからずに自動的に読み取ることも可能なのです。

また、RFIDタグはバーコードとは異なり、表面に出ていなくても無線を利用 して読み取れます。梱包材や本のカバーの上からでも、複数のタグを同時に読み 取ることが可能なのです。

RFIDタグの活用

RFIDタグの利用例はほかにもあります。最近では、図書館での本の貸出・返却手 続きの自動化に利用されています。RFIDタグはある程度離れたところからでも読 み取れるので、職員は携帯読みとり機を向けながら書架の間を歩くだけで、棚に どの本があるかを確認できます。これにより、蔵書の点検が通常の何分の一の時 間で終えることが出来るようになります。また、正しく貸し出し手続きのとれて いない本を持ち出そうとしても、出入り口などに取り付けられているセンサーが、 それを職員に連絡してくれます。

我々の研究内容

当研究室では、このRFIDタグを利用して農産物、海産物さらには食肉のような食 品に対する消費者の信頼を確保するため、生産から流通・消費段階までの履歴を 明らかにするトレーサビリティ管理システムの研究を行っています。下図は食品 の素材や加工品に付加されたRFIDタグの情報を読み取り、食品情報データベース へアクセスし、生産・在庫・出荷の管理さらには販売店における料金の計算など をするデータベースシステムの仕組みを示しています。

データベースシステム

下図は肉自身や包装紙に貼ってあるIDタグの情報がリーダライタに読み込 まれることによって、個体情報に加え、農場情報として生産者の顔写真や農場写 真の画像、さらにはエサ情報や流通経路情報が閲覧される様子を描いている。 流通経路